wafuwafu雑記帳

気になったことを気ままに書き連ねていきます。

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カテゴリ: 法律

なぜバックアップツールのリンクを貼るのがいけないのか

 この記事でも書きました通り、最近vita関連の話題を扱うブログが増加しているような気がします。その内容といえばmaidumptoolやvitaminといったバックアップツールの話題ばかりです。まあそれはそれで界隈が活気づくので良いじゃないか、と思う方もいるかもしれませんが、ここで浮上してくるのが「著作権法」なのです。以下の記事をご覧ください。
※当ブログから以下のリンクを貼るのは、AV Watchさんの規約上問題ないです。

DVDリッピングソフト配布で初の著作権法違反による検挙。リンク行為も幇助に - AV Watch 

 要は昔(とはいってもそんな昔でもありませんけど…)、話題となったDVD Shrinkの日本語版へのリンクを貼った雑誌の関係者が著作権法違反の幇助の罪で捕まった、というお話です(詳しくはリンク先をご覧ください)。本当は別の人も捕まっているのですが、ここでは雑誌の関係者のほうをメインにしていきます。そう、雑誌の関係者は著作権法違反の幇助で捕まっているのです。


著作権法についてみてみると…

以下、長いですが著作権法の今回に関連する条項(著作権法 第121条の2)です。

第百二十条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者
二  業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行つた者
三  営利を目的として、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
  営利を目的として、第百十三条第五項の規定により著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者

 これのどれが関係するかというと、1項が関連してきます。 省略して抜き出すと

「技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置、もしくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を当該プログラムを送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者」

 これが、ポイントになるわけです。つまり技術的保護手段をもっているものをバックアップするツールのリンクを貼って、公衆がアクセスできるようにしちゃだめですよ、ということです。 

 で、困るのが技術的保護手段ですよね。これについてはDVD関連でもある程度決着がついているので詳しく著作権法を掘り下げませんが、要は「暗号化されたものを復号して再生しちゃあかん!」ということに尽きます。再生というのはここではゲームの起動も入れておきましょう。要は暗号化されたROMを復号化して起動しちゃだめ、ということなのです。

じゃあPSPやDSってどうなの?

 当時、アホみたいに流行していたPSPやDSの吸い出しソフトはどうなのか、という話ですがあのあたりは暗号化してないんです。ただ、データを丸ごと吸い出しているに過ぎません。だからこのブログでpsp filer(リッピング機能、ついてますよね)を配布しようがこの条項についてだけ言えばいいわけです(他人の物を勝手に配るのですから、著作権法の別の条項に引っかかりますけど。本家へのリンクだけなら本家の人が禁止をしていない限り問題ないです)。

 問題となるのは復号化するものです。別に「使ったよー」くらいなら法的な問題はそこまで大きくないのです(一応よろしくないですが、刑罰はありません。親告罪の違法ダウンロードと同じようなもんですね。)が、「技術的保護手段」を回避するプログラムへのリンクを貼るともう犯罪なのです。しかも非親告罪です!要は警察や著作権管理団体あたりが動けばすぐになにかしらの対処がなされる可能性があるというわけです…
 
 つまるところ何を言いたいかというと、「技術的保護手段」であるDRMを明らかに回避している(ついでにpfsも)maidumptoolやvitaminへの直リンク(直じゃなくても解釈上よくないです)を貼っている人は捕まるかも…ということです。githubだから良いと思った…とか、言い訳になるわけありません。 megaは特殊な形式だから…というのもだめですねぇ。アレは運営者を守るためのものですから。

 ということでみなさんはくれぐれも、 リンクを貼るのはやめましょう。こればっかりはリスクが高いです。っていっても、中国サイトにガンガン貼られるんですけどね…やっぱり中国ってすごい。



[追記]
すっかり忘れていましたが、今回の記事を書いている最中に「復号化」がPSPでも行われていた時期を思い出しました。ご存じの方も多いでしょうが、iso toolですね。 なんでしたっけ、5.XXに対応するのがどーのこーので復号化が流行ったんでしたっけね…Prometheusパッチでしたっけ。今回の著作権法に照らし合わせると、そういう類のツールのリンクを貼るのはやっぱり違法なんで、気を…つけて…ください…?(いまさらツールを配布する人がいるとはおもえないですしね…)

[追記その2] 
やっとこさそのへんのブログと同じように見出しや囲いつけてみました。見やすいような、見にくいような…


 児童ポルノ法の改正後すぐに「盗撮」による製造扱いで逮捕という一件がありました。これはすでにお話している通り明らかに違法ですので当たり前と言ったら当たり前です。ネットもそこまで盛り上がりませんでした。

 ですがその後、ネットを驚愕させる一件が起きます。それは発信元隠す匿名通信システム「Tor(トーア)」悪用した児童ポルノ法違反 京都府警ら全国初摘発という逮捕劇でした。しかしこれはアップロードがあったためであり、改正前でも逮捕は可能でした。しかしつい先程もっとびっくりするニュースが飛び込んできました。「発育途中の女の子に興奮」匿名通信システム・トーア利用の児童ポルノ事件 男2人を書類送検というものです。こちらは改正後の「単純所持」扱いでの逮捕です。(もちろん改正後に職務質問等でスマートフォン内に児童ポルノを所持していたとして処罰されるケースは何件もありましたが)

 少し匿名化技術に詳しい方なら分かる通り、torを使用すればFBIでさえ追跡は不可能と言われています。なのに今回の一件、というか二件が起こったのか、というとズバリ「ビットコイン」です。そもそもビットコインは匿名化されていません。追跡しようと思えば追跡可能です。もちろんミキシングすれば別ですが、そもそもそういった技術は表に出てこないので、当該ウェブサイトを使う層にはあまり知られていなそうです。そう、この逮捕劇にtorの解析は関係ないのです。キーポイントはビットコインのミキシングをしたか否か、そういう話なのです。

 ですがここで疑問が湧いてきます。それは「警察がどうやってビットコインを追跡したか?」ということです。そもそも入金はどうやって感知したのでしょうか。一時期当該ウェブサイトが落ちていましたが、その時にでも不正アクセスをしたのでしょうか。そうでなくとも、特殊な手法を使わなければ感知できない気がしてなりません。つまりは違法捜査の可能性があるのです。しかしそれすらも匿名化によって感知できない状況にあるのかもしれません。

 とりあえず気が向けば判例DBで調べてみようとは思います。まあ判決が出るのはまだまだ先ですし、それがDBに掲載されるのは大分後な気がしてなりませんけど。そうでなくともLEXDBくらいにしか載らなそう…D1lawとかwestlawには期待してません。



 最終回は「プロバイダーによる規制」です。まずは条文を見てみましょう。


(インターネットの利用に係る事業者の努力)
第十六条の三  インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号 に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。 


  これは俗にいう「努力義務」というやつですね。別にやらなくてもいいということでもあります。さて、実はこの第十六条の三の文言は警察学論集によれば「プロバイダー、掲示板の管理者、サーバーの管理者」が行うべきものであるというのです。なのにもかかわらずこの記事の題名は「プロバイダーによる規制」です。一体どうして、でしょうか。
 それは附則にヒントがあるのです。


(検討)
第三条  政府は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置(次項において「インターネットによる閲覧の制限」という。)に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をするものとする。
2  インターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。 


 そうなんです、2015年施行の本法ですが、その三年後、つまり2018年には「法的義務の生じるブロッキング」が行われる可能性があるのです。もちろんそれは国主体というよりかはプロバイダーに義務を課すことで行われるでしょう(速度的問題、通信の秘密により)。つまりは2018年にはプロバイダーによってブロッキングが「法的義務」という盾をもって行われる可能性があるのです。

 とはいいましても、すでに 一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会、略称ICSAに加盟しているプロバイダーは独自の共有ブラックリストを使用し、児童ポルノを遮断しています(言ってはなんですが、正直これはいい出来ではないようです。販売サイトばかり遮断されているという話もあり、現在でもダウンロードリンクを紹介しているようなサイトは遮断されていないようです)。さらにそのICSAは児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体として指定されており、法改正が行われた場合この団体のリストを使用するということが考えられます。つまり2018年になってもし法改正等が行われても、「実状」のそこまでの変化はないと考えていいでしょう。

 ですがみなさんご存知「通信の秘密」を犯していないか、という話がブロッキングにはつきものです。現時点で実施されているブロッキングについては、 安心ネットづくり促進協議会曰く「緊急避難」として実行しているとのことです。確かに法的義務はありませんから正当行為とは言いがたいものですが、それを被害の拡大を防止するための「緊急避難」として扱うことで問題化を避けようという考えは非常に面白いものです。そしてこれは一応「問題ない」行為でもあります。それが2018年以降に「正当行為」として認められる可能性があるのです。通信の秘密は侵害しても、それ以上の成果がある、ということでしょう。

 ですがここでポイントが一つ。現在使用されているブロッキングの手法はDNSポイズニングといい、「確実にアクセスを遮断する」ものではありません。警視庁もそれを理解しており、2010年の時点で「これでは不十分」との意見を出しています。しかしこれ以上高度な方式となると、導入コストが嵩み、結果として導入できない企業が続出する可能性があるのです。かといって他の手法も確実性をもってアクセスを遮断することができません。つまりは法改正があってもこの方式のままである可能性があります。

 今回で児童ポルノ法改正に関する考察は終わりです。皆さんの知識に貢献できれば、幸いです。


【資料】
『警察学論集』第67巻第10号 97~133頁 




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